2040年問題_2040ねんもんだい
2040年問題とは、日本の人口減少と少子高齢化が進行することにより、2040年に顕著に表面化するさまざまな社会問題のことを言います。
〇介護医療における2040年問題
現在の日本の人口は、死亡者数が増加し、出生数が減少しているため、2040年にかけて人口が減少し続けると予測されています。もし出生率が少し上がったとしても、人口は減り続けると見込まれています。
まず、子ども(0~14歳)の数は1980年代から減り続け、2040年にはその数が今の半分以下になると言われています。働き手になる世代(15~64歳)は、特に「団塊ジュニア」と呼ばれる世代が高齢化するため、今後ますます減っていくことになります。
一方で、高齢者(65歳以上)は2040年頃にピークを迎え、その中でも特に介護が必要な高齢者(85歳以上)は急増します。85歳以上の人口は、2015年から2040年にかけて倍増し、1000万人を超えると予測されています。このため、介護の需要が一気に高まることが予想されます。
総世帯数は人口が減少しても増え続けてきましたが、2020年代半ばには減り始める見込みです。ただ、単身世帯やひとり親世帯は増え続け、特に75歳以上の一人暮らしの高齢者が増加します。2040年には、この世帯数が2015年より約175万世帯増えると予測されています。
現在、多くの地域ではすでに人口減少と高齢化が進んでおり、いくつかの地域では高齢者の人口がすでにピークを迎えています。今後は、東京や大阪、名古屋といった大都市圏でも人口減少と高齢化が進み、特に東京圏ではその傾向が顕著になる見込みです。
人口が減少することで、いろんな分野で需要が減る影響が出てきます。たとえば、民間の企業やサービス業の経営はますます厳しくなり、地域の中で日常的なサービスを提供し続けるのが難しくなることが考えられます。大きな病院や高度な医療を提供するためには、ある程度の人口が集まっている場所でないと運営が厳しくなるからです。
また生産年齢人口の減少により、人手不足が全国的に深刻化することが懸念されています。特に医療介護業界においては、慢性的な人手不足であり、医師の高齢化も進んでいるため、人材の確保がますますの課題となります。
◇地域ごとに異なる医療介護の課題
地域ごとに異なる変化・課題の現れ方の一例として、市町村ごとに公表されている将来推計人口の人口の変化の幅に着目すると、15~74歳人口が減少(25%未満の減)し、75歳以上人口が急増(25%以上の増)することが見込まれている市町村の人口が全人口の過半を占めています。このような市町村では、次のような課題が生じることが考えられます。
・三大都市圏のベッドタウンや三大都市圏以外の中心的な市などで高齢者が急速かつ大幅に増加することで、膨大な介護需要が見込まれます。住民の高齢者割合が高まり、地域における医療・介護サービス提供体制の構築が急務です。一方で、15~74歳人口が減少することにより介護サービスの担い手の確保が課題となります。
・医療・介護・住まい・公共交通・生活支援が総合的に地域で提供され、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、地域コミュニティの強化や、新たな形成が必要になります。
・移動手段に占める自動車の割合が高い地域では、高齢者の増加に対応した移動手段の確保が課題となります。
15~74歳人口が急減(25%以上の減)し、75歳以上人口が急増することが見込まれている市町村においては、急速に高齢化が進行し、介護ニーズの急増に対して担い手の減少がより極端に生じることにより、これらの課題がより深刻な形で現れる可能性があります。
団体数に着目すると、15~74歳人口が急減し、75歳以上人口が比較的安定(25%未満の増減)することが見込まれている市町村が約半数を占めるており、次のような課題が生じることが考えられます。
・ 今後75歳以上の人口は大きく増加しないものの、15~74歳人口が急減することにより、高齢化率がさらに高まるり、高齢者の生活を支えるサービスの担い手の確保が課題になります。
・15~74歳人口が急減することにより人材の不足が地域経済や日常生活に必要なサービスの制約要因となる可能性があります。
・ 75歳以上人口の増加が緩やかになったり、減少に転じることで人口減少が加速します。そのため医療機関等の都市機能、生活を支えるサービスやインフラの維持が課題になります。
・ 人口減少により、サービスを提供する利用者が減少し、コスト面で5GなどSociety 5.0の基盤となる設備整備が課題となります。
15~74歳人口が急減し、75歳以上人口も急減することが見込まれている市町村においては、人口減少がより急速に進むため、これらの課題がより深刻な形で現れる可能性があります。そんな中でも都市から地方に移り住む人が増える「田園回帰」の流れが広がることで、人口構造や地域の状況は大きく変化する可能性があります。
参考:総務省:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/chihou_seido/singi.html